抗がん剤治療の副作用の一つに脱毛があります。
髪の毛が抜けてしまう……。
辛いですね。私も人生の大半をロングヘアで過ごしてきたのでとても抵抗がありました。
でも、副作用による脱毛は一時的なもので、通常は抗がん剤治療が終わって3〜6ヶ月ほどで生え始めるようです。
この記事では、髪の毛が抜けることが怖くなくなった理由や、脱毛の時期、上手な対処で治療中の負担を減らせた方法をまとめました。
目次
なぜ副作用で脱毛が起こるのか
私は卵巣がんになり、パクリタキセルとカルボプラチンという抗がん剤を投与しました。
これらの薬をwikipediaで調べてみると、法的規制のところに「毒薬、指定医薬品、処方箋医薬品」と記載があります。
がんに侵されている上に、薬とはいえ「毒薬」を入れるなんて……。
そんな状態で髪の毛がごっそり抜けていくことに恐怖しか覚えませんでした。
でも、怖がらなくて大丈夫です!
私は、抗がん剤がどういうものなのかを知ることで髪の毛が抜けることが理解できると恐怖が薄れました。
どういうこと?
医師に教えていただきました。こんな感じです〜
抗がん剤は、がんが広がるのを抑えたり、小さくする薬です。
では、がんに対してどのようなタイミングで攻撃をしているかご存知ですか?
答えは、がんが大きくなろうとするタイミングです。
がん細胞が増え始め、大きくなろうとする時に不安定な状態になります。
抗がん剤は、活発に活動をしている不安定な細胞を攻撃してやっつけるのです。
ほぉ、なるほど。
あれ?不安定な細胞を?
がん細胞ではなく?
勘が鋭いですね!
そうです。
がん細胞を狙い撃ちするのではなく、細胞つまりは正常な細胞をも一緒に攻撃してしまうのです。
がん細胞を狙い撃ちできるのは「分子標的薬」といって、乳がんではハーセプチンなとが有名ですね。これは、その名の通り、がんを標的にして治療ができるため、正常な細胞への影響が少なく副作用が小さいのです。
話を元に戻すと・・・。
抗がん剤は、活発に活動している細胞を攻撃します。髪の毛が生えている毛根の細胞は活発に活動しているため、がんと同じように攻撃をされてしまい、一時的に脱毛が起こってしまいます。
言い換えれば、脱毛が起こるということは、抗がん剤が体に効いている証拠ということになるのです。
脱毛が始まるというのは良いことなのです。
髪の毛が抜けてきたら
「抜けてきた、私の体どうなっちゃうんだろう、怖い。」ではなく、
「ヨシッ!ちゃんと薬が効いてきたことが確認できた!!」と安心しましょう。
余談ですが、指先の細胞や造血機能も活発に活動しているため、抗がん剤の影響で指先のしびれが出たり、血液をうまく作れなかったりすると医師から言われました。
↓造血機能については、別の記事でお話しています。
髪の毛が抜け始める時期
脱毛の時期は人それぞれですが、一般的に抗がん剤治療後以下のような日程で抜け始めます。
- 早い人:10日目ごろから抜け始めます。
- 多いパターン:2〜3週間で抜け始めます。
私は少し遅めでした。
【治療10日目】
・頭皮が少しピリピリした
【治療14日目】
・枕に髪の毛がつく量が増えた
【治療15日目】
・ボブにした(自分で髪の毛を切った)
・髪を洗うと抜けた毛がいつもより多く手に引っかかっていた
【治療20日目】
・目が覚めたら3cm角ぐらいの毛玉が髪の毛に絡まっていた(注1)
【治療21日目】
・ショートカットにした(自分で髪の毛を切る)
・髪を洗うとごっそり抜けた(注2)
・ドライヤーで髪が飛散した
※激しく3日間抜けた(1日で1割ずつ抜けるイメージ)
→その後もちょこちょこ抜けた
【治療27日目】
・治療1回目の脱毛周期が終了
※6割程度の髪が残った
(注1)
眠っている時に抜けた髪の毛が生えている髪の毛と絡まっていることもあり、シャンプー前に時間がかかってしまうこともありました。
このような場合、シャンプー前に一度コンディショナーを使うことで、絡まり合った髪がほどけて洗いやすくなります。
(注2)
洗髪中の抜け方は、髪の毛に手を通してシャンプーをつけたまま手ぐしで髪を撫でると、そのままごっそりカツラのように髪の毛の塊が取れる(毛束ごと取れる)という感じでした。シャワーで髪を流しても流してもきりがない感じでした。
準備しておくと便利なもの
まずは箇条書きで。理由はのちほど^^
- 毛羽立ったタオル
- ヘアピン(留められるものなら何でも)
- 専用ヘアキャップ
- スーパーの袋(複数枚)
- 低刺激シャンプー
- ニット帽
- ウィッグ
毛羽立ったタオル、ヘアピン
脱毛が始まると勢いよく髪の毛が抜けていきます。
紅葉時期が終わった葉っぱのように、家中髪の毛だらけになってしまい、いくら掃除をしてもきりがありません。
帽子をかぶることで対策ができるのですが、ただでさえ副作用で苦しい時期。
頭が締めつけられて苦しいので、少し毛羽立ったようなタオルを肩にかけ、ヘアピンでタオルの先端を留めているだけでも床に落ちる髪の毛の量が減り、掃除が楽になります。
専用ヘアキャップ
「医療用ウィッグのスヴェンオリジナル・世界初!茶色いヘアキャップ」がメチャクチャ便利です。
調理の時など、タオルでは髪の毛が落ちるのを防ぎきれないため、お風呂用シャワーキャップをかぶってみました。
長い時間かぶると……ですよね、頭が蒸れます(汗)。
シャワーキャップのてっぺんをハサミで切って使用を試みましたが、(切り方が悪いのかもしれませんが)結局髪の毛が落ちてしまったり、ゴムの締め付けが痛くて苦労しました。
この専用キャップは不織布製で通気性がとても良く、ゴムの締め付けも少ないように作られているので、脱毛が多い日には特にオススメです。
10枚入り500円で、使い捨てタイプです。
それでも、長時間かぶっていると苦しさを感じたため、私は椅子に座ったり横になっていたりと家の中で動かない時間は先にご紹介したタオルでしのぎ、動きがある時にこのキャップをかぶるなどで状況に応じて使い分けていました。
スーパーの袋(複数枚)
髪の毛を洗うためか、お風呂で最も髪の毛が抜けます。
少しずつ抜けていくのかと思いきや、指を通すとまとめてザバッと抜けたりもします。
カツラのようにごっそり指に絡みついて抜けることもあるので、そのまま排水口に流すと詰まってしまい、何度も排水溝の髪の毛を取り除き、また洗い流しての繰り返しになり大変でした。
そこで・・・
スーパーの袋を浴室に持ち込んで、
手についた髪の毛はそのまま袋へ!
これで排水口の頻繁な詰まりが解消されました。
……と、こちらは先に乳がんを患った母からの入れ知恵でした。
このおかげで、私は苦労をせずに快適な入浴時脱毛ライフを送ることができました。
低刺激シャンプー
髪の毛が抜ける時に、ヒリヒリ、ピリピリとした痛みのようなものがあります。
↓私が経験した感覚で近いのはこんな感じです
ポニーテールを長時間した後に、ほどいた瞬間のあの何とも言えないような引っ張られたような頭皮の痛みです。
ヒリヒリ、ピリピリの痛みと言っても、大きな痛みではないので、これから脱毛が始まる方もあまり不安にならないで大丈夫だと思います。
ただ、刺激の強いシャンプーでは、痛みを大きめに感じる可能性があったり、副作用で皮膚自体が過敏になっていたりするため、低刺激のシャンプーがオススメです。
ニット帽、ウィッグ
これは、外出時や、自分のお楽しみ用です。
がん患者の受け入れがある病院には、売店や美容院などが入っていて、そこでの購入や情報を得ることもできるかもしれませんが、ネットでも安くて可愛いものや種類も豊富にあるので、早い段階から選んでおくのも良いかもしれません。
特に、入院時は退屈な時間も多いので、ウィッグ選びとかで楽しい時間を過ごしてみるのもありかも♡
私は、闘病中に何もしていないと悪い想像ばかりが働いて不安になる癖があったので、意図的にこういうものを探してがんのことをできるだけ考えないようにしていました!
時間をかけて選んだ結果、めちゃくちゃ良いウィッグに出会ってしまいました♡
これについては、別の記事で詳しくお話させてください。
買ってよかったオススメの商品はこちら↓
髪の毛を短くする時に知っておきたいこと
「どうせ抜けるんでしょ?
副作用で体がキツい。
髪の毛を洗うのも乾かすのも大変。
いっそのことスポーツ刈りにしよう!」
↑脱毛が始まった頃の私の考え。
ハサミを持って髪の毛を根元から切ろうとしているところに、母が慌てて飛んできました。
「ショートカットぐらいにした方が良い!
短すぎたら、これから大量に抜ける髪の毛がチクチク刺さるよ。
拾うのも大変よ。」
そして、ショートカットにしました。
TC療法では、抗がん剤の副作用で98〜99%が抜けると言われていました。
入院中にも多くの医師や看護師に「もうそろそろですね。髪の毛が抜けるのが辛いと思いますが。」と言われてきたので、覚悟はしていました。
が、思ったように抜けない!
半分ぐらいにはなったのですが、すごく髪をすいた感じになり、そこから脱毛時期がいったん終わってしまいました。
スポーツ刈りにしなくて良かったと何度思ったことでしょう。
鏡を見るたびに想像してしまい、可笑しくなります。笑
結局、3回目の治療の時にはほとんど抜け落ちましたが。
そして悲劇のスタート
困ったことに、このタイミングで治療が終わったと勘違いしたのか、髪の毛がいっせいに生え始めました。
4回目の治療の頃には、まさにスポーツ刈り状態になり、さらに次の抗がん剤で抜け落ちて……
となりました。
忠告の通り、スポーツ刈りの長さの髪の毛が大量に抜け落ちることは、ものすごく大変です。
タオルや布団などの布製品に入り込んで、コロコロでもうまく取れずに掃除してもきりがない生活を送りました。
ポイント
とても低いとはいえ、あまり抜けない可能性もあるため、自分が納得できる長さを保っていた方が良いかもしれません。
脱毛が多い時の上手な乾かし方
ドライヤーの風は想像以上に強いのでしょうか。ありえないほどの髪の毛がドライヤーで部屋中に飛び散ってしまいます。
最初のうちは、タオルを膝の上に置いて乾かしたり、物が少ない部屋に行って乾かしたりしていましたが、とにかく掃除が大変!
お風呂だけでもキツイのに、掃除機やコロコロなど、お風呂と掃除がセットで待っているのです。残酷ですね。
ということで、途中からある場所で乾かすことに決めました。
ズバリ!浴室でドライヤーをかけるです。
洗面所から延長コードで伸ばし、浴室でドライヤーをかけることにしました。
(体が湿っていると髪の毛がへばりつくため)体を拭いた後、そのままドライヤーをかけます。体についた髪の毛もドライヤーの風で飛ばせます。(服を着た後に乾かすと、服にもたくさんついてしまったりするので)
飛び散った髪の毛は、シャワーで浴室全体サッとひと流して最後に排水口の髪の毛をとる。
これで完璧です!
コロコロや掃除機よりも圧倒的に短時間で掃除が終わるので、脱毛の掃除でお困りの方は、ぜひお試しください。
まとめ
髪の毛が抜けることにゾッとしたり、恐怖を感じることがあると思います。
私も、今まで経験したことのないような体の痛みなどに加えて、髪の毛も抜けてしまって自分はもうダメだと思い落ち込むこともありました。でも、髪の毛が抜けるということは、抗がん剤が効いている証拠であり、自分の細胞も正常に作られているということの現れだと考えると、少しは自信が持てるようになりました。
この記事を読んでいただいて、みなさまの不安が少しでも解消されていますように。