がん治療中に食事療法!?そんな難しいことできない。ただでさえ辛い治療中にこう考えるのは当然だと思います。しかし、やり方一つで簡単に取り組むことができました。この記事では、日常の調理よりもずっと簡単な、小学校の調理実習レベルで作れる食事療法をまとめています。
がんの食事療法は難しい?
がんの食事療法に「難しい」というイメージはありませんか?
Cocoaは、とても難しいイメージを持っていました。
ざっくりと以下のような取り組み方が必要なのだろうなと。
- 1食ごとのカロリー計算
- 1食ごとの炭水化物の計算
- 1食ごとの脂質の計算
- 1食ごとのタンパク質の計算
- 適切な食材の組み合わせ
- 全ての物をグラム単位で計って作る
わぁぁぁ〜。
見るだけで頭が痛くなっちゃう(汗)
食材の全てを栄養素ごとに計算したりカロリーを出したり……
「糖尿病の食事療法が大変」という印象があるため、がんの食事療法もこのように難しいイメージがあったのかな。
毎回きっちり計算をしないといけないなんて、元気な時でさえも簡単な作業ではありません。
ましてや、心身ともにとても辛い状況となる"がんの治療中"にこのようなことをするなんて絶対無理!
本当に無理です。副作用の症状は人それぞれと言いますが、卵巣がんでTC療法を受けていたCocoaの体調では不可能でした。乳がんで化学療法を受けていたKinacoでもそんな余裕はない状態だったため、がんの治療中に難しい食事療法を取り入れるなんて到底できることではありませんでした。
しかし、がんの食事療法は意外と簡単に取り組めるものだったのです。
食事療法の考え方についての記事はこちら
例えば、済陽式食事療法では、ルールの1つに「四足動物の肉を食べない」というようなものがあり、カロリー計算は必要ないです。
より効果的な食べ方は、取り組みながらだんだん極めていけると理想的だと思いますが、最初から完璧にこなすことに集中してしまうと疲れてしまいます。
まずは、簡単に取り組めるところから始めるだけでも十分!
そう考えて、乳がんステージ4を克服したKinacoは以下のように食事療法を始めました。
食事療法の簡単な始め方
Kinacoは、がんが大きく広がりすぎて「延命」だと言われるほど体調が悪かったにも関わらず、化学療法と食事療法の併用でがんを小さくすることができ、手術後は再発もなく元気に暮らしています。
がんを克服できたとはいえ、最初から食事療法を完璧にこなせていたわけではありません。
むしろ、最初から完璧を求めると取り掛かるまでに時間がかかってしまうので、間に合っていなかったかもしれません。
極めることと妥協ポイントを見つけ、治療中は特に無理なくできる範囲で取り組みました。
まずは、小学校の調理実習レベルでできることから始めました。Cocoaでも10歳ぐらいで作ることができていたような内容です。
最低限のルールを厳守
極めたこととしては
- 食べてはいけないものは、絶対に食べない
- 食べるべきものは、積極的に食べる
この2点だけです!
「がんに悪影響を与える可能性がある」と言われる食べ物を食べることをやめました。反対に、がん予防効果があるとされる食材を積極的に摂取することにしました。
そりゃそうかもしれないけど、じゃあ実際に
何を食べて、何を食べなかったの?
食べるべきものと控えるべきものは、済陽式食事療法をベースとし、具体的に厳守したルールはこちらです。
- お酒
- 調味料や加工品や添加物が含まれるもの
- 四足動物(牛や豚など)の肉
- 乳製品※牛にホルモンが使用されているもの
- できるだけ無農薬の野菜や果物
- 昆布やわかめなどの海藻類
食べないものは徹底的に食べないように気を付けました。
四足動物のお肉を食べないというのは特殊ですが、感覚としては"昔の日本の食事から調味料を抜く"という感覚です。自然にあるものを、できるだけ新鮮なうちに食べるということを心がけました。
一方、妥協したことは、それぞれの食材における効果的な食べ方です。
食材ごとに、ジュースにして飲むのか、スープにするのか、炒め物にするのかといった最適な調理方法があります。また、食べ合わせが良いものや悪いものなどもあります。
1日に最適な摂取量というのもあります。
このあたりのことについては、いったん目をつむり、食事療法を進める中で余裕がでてきたら極めていくようにしようということで、始める時点では妥協ポイントとしました。
10歳でも作れる食事療法の食事
では、実際に抗がん剤治療中でも無理なく作れた超簡単な食事療法の調理方法のお話に進みたいと思います。
ということで、早速作り方から!
- 食材と水を鍋に入れる
- 火にかけて茹でる
- 完成!
※食材は切らなくてもグツグツ煮込めば柔らかくなります。大きさが気になる場合は、食材によってはわざわざ包丁を使わずに手でちぎっても大丈夫!火傷に気をつけながら鍋のまま食べました。副作用で体調が悪い時は、洗い物している余裕なんてありませんでした(^_^;
- 食材を口に入る大きさに切る
- 鍋に(1)を入れ、それが浸るまで水を加える
- 火にかけて茹でる
- 煮えたらお椀にうつす
- 少し冷めたらトッピングを入れる
- 完成!
※大きめのトマトを入れると、水は少なめでOK
食材というのは、野菜が主です。昆布、いりこ、きのこも栄養価UPや食物繊維増量の目的で毎回入れています。
タンパク質を入れたい場合は、魚または鳥の胸肉を加えます。
スープができあがったらお椀にうつして少し冷めるまで待ちトッピングを入れています。トッピングとしては、エクストラバージンオリーブオイルや少量の減塩味噌です。
基本的に調味料は使用しませんが、塩分も多少は摂取した方が良いのかなと思っているのと、味噌は発酵食品として体に良いと言われるため、減塩味噌を少量加えるようにしています。ここで大切なのが、減塩味噌を入れるタイミングです。
ポイント
また、オリーブオイルを加えるのは、脂溶性ビタミンを吸収することを目的としています。
スープに入れる食材の野菜には、ビタミンAなどのように水ではなく脂に溶ける性質を持っている"脂溶性ビタミン"が含まれています。これを吸収するためには、脂と一緒に食べることが効果的であるとされているため、オリーブオイルを加えるようにしています。
なぜスープなのか?
調理方法はたくさんあります。しかし、スープが最も簡単だと考えて辛い治療中もスープだけは作っていました。
なぜスープなのでしょうか?
それは、野菜には水溶性のビタミンがたくさん含まれるため、スープにすることで食材の栄養素を全て飲み干すことができるからです。
さらに、炒め物にした場合、炒めすぎるとアクリルアミドという発がん性物質が発生してしまうということが懸念されますが、スープではその心配もありません。
それだけではありません。これは治療を経験した方にしかわからない感覚かもしれませんが、抗がん剤治療では口内環境が悪くなり、荒れたり痛くて食べられなくなる時期がくることがあります。食材がクタクタになるまで煮込んでスープにすることで、食材が柔らかいことから口の中の痛みや噛む負担の軽減ができます。
また、抗がん剤治療中は、薬の関係で通常以上に便秘で悩むことも多いですが、消化器官への負担も減らすことができるのです。
このように、細かいことを色々と考える必要がないため、最も簡単で取り掛かりやすい食事療法の第一歩はスープを作ることだと思っています。
「スープを作る」ってハードル高くない?
そんなことありません!!
調味料を使用しないだけでそのハードルはグンと下がります。
むしろ、この食事療法のスープは、冷蔵庫にある野菜を適当に切ってグツグツ煮るだけで良いので、
通常の食事よりも簡単に作ることができるのです。
最後に、スープにするメリットをまとめて終わりたいと思います。
- 汁に溶け出した栄養素まで全て飲み干せる
- 発がん性物質(アクリルアミド)を発生しない
- 口内の痛みや噛む負担を軽減できる
- 消化に優しい
- 細かいことを考えずに超簡単に作ることができる
まとめ
がん治療のただでさえ苦しい時に食事療法なんてできないと思いがちですが、辛い治療のときこそ実は食事療法が役に立ったりするのです。簡単かつ健康的な食事を作ることができる食事療法に出会えて本当によかったと思っています。美味しい食事という観点ではもちろん調味料を使いたいと感じますが、調味料を入れないことで食材そのものの美味しさを感じることはできます。最初から完璧な食事療法をすることを目的としてきちんと勉強できるまで取り組まないのではなく、私たちのようにできることから始めてみると想像以上に食事療法に楽に取り組めるかもしれません。